スタッフブログ(P):勉強のクセをつけることの必要性

1 それまで勉強する習慣のなかった中学生・高校生が、勉強するようになるには、何が必要なのでしょうか。

2 中学生・高校生はなぜ勉強しなくなりやすいのか

 中学生・高校生は、それまで勉強してこなかった場合、なかなか勉強するようになりません。また、それまで勉強してきた場合でも、いったん躓くと、勉強しなくなってしまいやすいです。

 なぜ、勉強しない、しなくなってしまうのでしょうか。理由が二つあると思います。

 第一に、勉強は、一般に、脳に苦痛を与える作業です。その内容の多くは、自分のこれまでの経験と無関係、無関心だった事項です。これを一定期限内に頭に詰め込むのは苦痛です。皆、その苦痛を避けたいから勉強を嫌がるのです。勉強の苦痛は、親の皆さん経験していることと思います。

 そして、中学生・高校生になってくると、勉強すべき量も増え、レベルも、それまでの勉強の成果を前提とした高度なものになってきて、少しでも躓くと、そこから勉強がわからなくなり、脳に与える苦痛が増大するのです。

 第二に、自我が強くなってくると、「勉強しなさい」などの親の言葉を素直に聞かなくなっていきます。親の言葉をうるさいと感じ、勉強した振りしてゲームやスマホに興じてしまいます。

3 勉強しない子供に対する大人の対応

 ところで、大人は、物事を合理的に考えます。なので、ある行動にはその理由が必要と考え、また、理由がしっかりしていれば行動もしっかりすると考えるのです。

 そこで、多くの大人は、子供を勉強させるにも勉強の理由がもっとも大事と考えます。

 なので、自分の子供(中学生・高校生)が勉強しないと、親は、子供に勉強する理由を説きます。確かに、「勉強しないと、良い大学に入れないと、良い企業・官庁に就職しないと、その後の人生に大きなマイナスをもたらす。」「自営業で成功している親の仕事を継ぐにしても、良い大学で多くの友人を得ないと、社会が変化したときにいつまで成功し続けるかわからない。」という言葉は、多くの場合、一般論として正論です。

4 大人の対応は子供に説得力がない

 しかし、中学生・高校生になって自我が強くなってくると、親に、一般的に正しい前述のような言葉を言われても、全く聞く耳を持ちません。目先の、脳に苦痛を与える作業を避けることを優先してしまいます。

 社会経験の少ない子供には、想像力がなく、親に言われてもピンとこないのです。

5 子供が親の言葉を理解できるのは、子供が社会に出てから

 本人が成人して、社会に出て、学歴等がないために苦労して、良い大学を卒業して、安定的な、将来に希望のある生活をしている同年代の人と自分の状況を比べて、はじめて、「あの時の親の言葉を聞いて勉強しておけばよかった。」などと思うのです。

 その時から勉強を始めても、人生のために、本当は遅くはないのですが、日本の社会は硬直的で、そのように、成人してから自発的に勉強などして能力をつけた人材をうまく活用するシステムが整備されていなません。そのため、医者や弁護士など特殊な資格を取る道などを歩まざるを得なくなります。

 また、勉強とは関係のない世界で成功する可能性も十分あります。でも、その成功のための苦労は、勉強のための脳の苦痛とは比較になりません。しかし、それを本人が希望し、本当に苦労する根性があれば、その世界で成功する可能性も十二分にあります。しかし、今回のコロナ騒動で、自営業の弱さ、大企業・公務員の強さ、を実感した人も多いと思います。

6 小学生の高学年くらいから、勉強のクセをつけることが大事

 このように、一般的には、勉強した方が、その後の人生は楽です。なので、小学生のうちに、勉強するクセをつけて、脳の苦痛を少しずつ軽減することが必要です。小学生のうちに、簡単なことから勉強させ、ほめて、子供の能力に自信をつけて、少しずつ勉強に慣れさせて、できるだけ脳に苦痛を感じさせないようにさせることが大切です。

 小学生のうちに勉強するクセをつけておけば、中学生・高校生・大学生と進むにつれて膨大な知識や思考訓練をすることが楽になります(だからと言って、クセをつければ万全という意味ではありません)。

 クセをつけることが十分になされずに中学生・高校生になった子供には、学年が進むにつれて、必要とされる勉強量は膨大となり、かつレベルが高くなるので、脳にかかる苦痛の量も膨大になり、ふつう、耐えられません。

7 クセをつけてこなかった場合、どうすべきか。 

 では、それまでにクセをつけてこなかった場合、どうすべきなのでしょうか。

 端的に言います。中学生・高校生になってからでも、「クセをつけさせる工夫」をすることが非常に大事です。親をはじめとする周りの人間が、ネット(多くの人の善意と知恵の集合体といってよいと思います。なので、しっかり選択すれば、非常に大きな効果を上げることができます)や、eテレなど、利用できる手段を最大限活用し、可能なら親も同時に勉強し、子供と一緒の目線で悩み、ほめることによって、できるだけ勉強を楽しくする、子供に自信をつける工夫をすることが大事です。それ以上に大事なのは、子供自らも、そのような工夫をすることです。

 遅すぎることなんてありません。人生は長いのですから。

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